西ヨーロッパの小国
・アルペシェール。
四方を海と黒き災いの花――
リコリス・ノワージュに囲まれた
この国の人間は23歳までに死に至る
《死の呪い》
を抱いて生まれてくる。
万人に等しく死が降り注ぐアルペシェールは、いつしかこう呼ばれるようになった。
――死神に魅入られた国、と。
国民は短命である自分たちの
運命を嘆き、抗う。
そして長年にわたる研究の末、
あるシステムを創り出した。
23歳までに死を迎える肉体を捨て、
記憶だけを生き永らえさせる
――“記憶のダウンロード”。
“記憶のダウンロード”によって永続的に生き続ける人々は
“リライバー”と呼ばれ、
短命に抗い続けている。
時を同じくして、関わる者全てが不幸になることから
《死神》
と呼ばれる少女がいた。人生を嘆いた少女が自ら生を終わらせようとした瞬間、
目の前に
《死の番人》
だと名乗る謎の男が現れる。